どさんこ田舎者、東京でいろいろつくる

北海道遠軽町出身、さのかずや26歳。大学院を経て、再び東京で会社員。無茶と繊細さと賢さとバランス感覚。

最後に謎が明かされる系の話を

書いてみたくて



そういえば、あいつがいなくなって、そろそろ1年経つ。


最後の大会が終わり、部活は引退した。学校は徐々に受験ムードに向かっている。
なんか勉強しなきゃいけないような、でもみんなと遊びたいような、そんな放課後の教室が嫌で、僕は学校が終わると早々に帰ることにしている。

東京に行った兄貴に貰ったMDを聴いて、誰もいない河川敷、堤防の上を自転車で走る。
兄貴が大好きなそのバンドは、ミッシェルガンエレファントというらしいが、僕にはその良さがよく分からない。
でもなんか、自転車で走るにはいい音楽だな。

ふと見ると、見覚えのある茶髪の女の子が、見覚えのない制服で、堤防の石の階段に座っていた。
自転車を止めると彼女が振り返り、僕に気づいて小さく手を振った。
僕はイヤホンを外し、自転車のスタンドを立てて階段を下り、彼女の横に座る。

「久しぶり」

僕が言うと、彼女は静かに笑った。

「よう」

相変わらずだな、と僕は笑った。
川が流れる音と、芝生の匂いに混ざって、彼女の匂いがした。
様々な記憶が蘇って、なんだか泣きたくなった。

「どうなの?最近」

茶髪を風になびかせながら、彼女は昔と変わらない目で僕を見る。
彼女には、何でも話せる気がする。

彼女は適当な返しで、でもしっかりと、僕の話を聞いてくれた。
学校の話とか、兄貴のこととか、恋の悩みとか、進路のこととか。

「まあなんとかなるんじゃん?」
「そんなもんでしょ」
「あまいあまい、そのうちわかるって」

彼女は詳しいことは何も言わなかったけど、僕の知らないことも、なにもかもわかっているようだった。
時々、彼女が歌う鼻歌は、ミッシェルガンエレファントの「世界の終わり」という曲だった。
そういえば昔から、彼女は兄貴と仲がよかったな、と思い出す。

気がつくと空が、絵の具で塗りつぶしたような赤に染まっていた。
誰かがこぼしたような雲が、ぽつりぽつりと浮かび、オレンジ色に照らされていた。
僕と彼女の間を、まだ涼しい風が静かに吹き抜けていく。彼女の匂い。
彼女は前髪をかき分けると、静かに立ち上がった。
短いスカートが風になびく。青い花柄。

「じゃ、私帰るね」

ローファーを石段に響かせながら、彼女は堤防に上がった。
僕は石段から彼女を見上げ、呼びかける。

「また、ここに来たら、会えるかな?」
「わかんなーい、私がいたら、ね」

後ろ手に手を振った彼女は、茶髪を夕日になびかせ、堤防の向こう、塗りつぶした赤の方へ消えていった。


家に帰る頃には、すっかり暗くなっていた。
部屋の電気を点け、勉強道具を机の上に出す。
ふと、机の横にある、小学生の自分と、昔飼っていた茶毛の猫が写る写真に目をやる。

そういえば、あいつがいなくなって、そろそろ1年経つ。


これ書くのに1時間も掛かっちゃうのはおそいな。
もっと早くアウトプットできるようになりたい。